看護学校で手術看護を教えなくなった理由|手術室の真の特殊性

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手術看護は数ある看護分野の中で唯一、看護学校で教えられることがない分野です。僕はどうしてもこの事実をいろんな人に知ってもらいたいので、先日こんなツイートもしました。

たくさんの方から反響をいただいたので、もう少し詳しく書いてみることにしました。

手術看護の真の特殊性を知るために、少しお付き合い頂ければと思います。

手術室看護師から見ても、手術看護は特殊である

手術看護 看護学校 に関する画像

オペ室は一般的に「閉鎖的」とか「看護がない」とか言われます。物理的に閉ざされた空間であることは確かだから、中で行われていることが外に知られないのはしょうがない。

ただ、知らない分野なのに「オペ室には看護がない」と看護学生にまで言うのはやめてほしいなって思います。

改めて言うけど、手術看護ってのはやっぱり特殊です。ただ、その理由は単に「閉鎖的だから」ではありません。

手術看護は看護学校で学べない

手術看護が特殊である最大の理由は、看護学校における基礎教育が行われていない唯一の分野であることです。

簡単に言えば、「手術看護は看護学校の科目として存在しない」ということ。

不思議ですよね。

男性看護師は母性分野に配属されることは絶対にないのに、看護学校では男性も母性看護学を学びます。男性が母性看護を学ぶなら、手術看護を学んだっていいじゃないかと思うわけです。

手術件数が右肩上がりっていう世界的な背景を踏まえれば、手術看護は医療の中でも重要な分野であると僕は思います。

手術看護はもともと看護学校で教えられていた

実は、昔から手術看護が教えられていなかったのかというと、そうではありません。

そんなに昔に戻るのかと思われるかもですが、第二次世界大戦ごろまで、手術看護は看護学校で教えられていました

当時は今のように院内のどこか1ヶ所に手術室が集まっていたわけではなく、それぞれの病棟に1つずつ手術が隣接していて、入院患者も手術も、すべてその病棟の看護師が担当していたんです。

今となっては「これでこそ本当の周術期看護だ」と思ってしまいますが、昔は外科病棟で働く場合、手術看護の知識がなくてはならないものだったんですね。

手術看護が教育カリキュラムから消えた理由

手術看護が看護学校における教育カリキュラムから消えたのは、第二次世界大戦後のこと。

保助看法の改正に伴い、手術看護は「急性期看護の一部」とみなされるようになりました。

ただ、当時はまだ手術看護に割く単位数が少なくなっただけで、実習も行われていたようです。

現状のように手術看護が全く教えられなくなったのは、1970年代の「手術室中央化」が影響しています。

手術室の中央化とは

中央化というと馴染みがないかもしれませんが、基本的に現代の手術室はほぼ全て中央化されています。

おそらくどの施設にも「中央手術室」として院内の1ヶ所に手術室が集められているはずです。

院内のいたるところに手術室があると、それぞれに滅菌器材や材料を常備しなければならず、コスト的にもスペース的にも効率が悪い。

そんな理由で、手術室を1ヶ所に集めるようになったのが1970年代です。ちなみに、日本で最初に中央化したのは東京大学病院でした。

手術室看護師の誕生

それぞれの病棟に手術室があった頃は、「病棟看護師」「手術室看護師」を区別することがありませんでした。

病棟業務もオペ室もすべて同じ看護師が担当するので、区別する必要がなかったんですね。

しかし手術室が中央化されたことで、手術室専属の看護師が必要になります。ここで初めて、手術室が誕生します

手術室の中央化をきっかけに、手術看護を学ぶ必要があるのは手術室看護師だけという概念が生まれ、自然と手術看護が看護学校で教えられなくなっていったのです。

「手術看護教育がない」ことの弊害

手術看護 看護学校 に関する画像

よく、上司から「いろんな分野を経験して視野を広げたほうがいい」と言われませんか?

僕はこの「視野を広げる」が大嫌いで、理由は2つあります

  1. 看護は幅広い分野であり頭数も多いので、医師のように専門分野を持つべきだという個人的な意見がある
  2. 「広い視野」の中には、たいてい手術室が入っていない

個人的に、看護師誰もが専門分野を持つべきだと思います。どの分野においても深い知識と実践力を持つなんて、人生がいくつあっても足りません。

そして何より問題なのは、後者です。

国内の制度が手術看護を特殊なものに作り上げた

「広い視野を持ちなさい」の中に、たいてい手術室は入っていません。なぜなら、それだけ特殊で専門性の高い分野であり、「手術室だけは別」というスタンスを持つ看護師がとても多いからです。

しかし多くの看護師が「手術看護は別」というスタンスを持つようになったのは、すべてこれまでのシステムが問題です。

これまで説明してきた手術看護の特殊性を踏まえれば、国内の制度がいかに手術看護を孤立させたかをお分かりいただけるかと思います。

そしてもう一つ、個人的に感じる手術看護がないことによる弊害があります。

手術看護教育には異常なまでに時間がかかる

看護教育は、看護学校における看護基礎教育と就職先での看護継続教育に分かれます。

よく「看護学校で◯◯をやっても臨床では必要ない」と呟く看護師がいますが、これはお門違い。看護学校は決して、現場で必要な知識を学ぶところではないのです。

看護学校は、現場で必要となる知識や実践の核となる部分を学ぶようなもの。

しかし手術看護は基礎教育が行われないので、手術室に配属された瞬間から、現場で基礎教育と継続教育が同時に始まります

手術室看護師は一人前になるまでに小さな手術室でも3年、大きなところでは5〜6年もかかります。

看護学校で手術看護を教えない分、現場の手術室看護師は学ぶべき量が多く、一人前になるまでにも異常なまでの時間がかかるのです。

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まとめ

手術看護 看護学校 に関する画像

あまり知られていませんが、どうしても伝えておきたかったので「看護学校で手術看護を教えない理由とその弊害」について記事を書きました。

少しでも手術看護を知ってもらえたらと思います‼︎

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